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国税専門官?国税局?税務署?「国税専門官」の仕事を元職員が解説!③税務署職員が学ぶための充実の研修制度

 

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こんにちは!フジツボです。

 

 

前回の記事はこちらから

 

hujituboblog.hatenablog.com


 

 これまでの国税専門官のお仕事シリーズ

hujituboblog.hatenablog.com

 

hujituboblog.hatenablog.com

 

 

◎上記の記事をご覧いただいたうえで、本記事をお読みください。

用語など分かりにくく感じるかもしれません。

 

 

今回は、税務署職員が受ける研修制度について解説をしていきます。

 

国税専門官「税務職員」は基本的に採用枠としての違いであって、仕事内容などでの違いは無いが、「研修」の面で大きな違いがある以前の記事でお話しました。

 

ではどんな違いがあるのか?そもそもどんな研修を税務署職員は受けているのか?解説していきます!

また現在研修中の方々は、別の研修ではどんなことをしているのか、何が違うのかといったことを本記事で知っていただければ、今後に役立ちますよ!

 

 

 

 

どんな研修制度があるの?

 

まず税務署職員が受ける研修には、大きく分けて「税務署や国税局で受ける研修」「研修所で受ける研修」の2つに分けられます。

 

・税務署や国税局で受ける研修

これは民間の会社では「社内研修」と呼ばれているものと理解していただいてOKです。

 

税務署に配属されている人を例にとると、税務署内では確定申告前の研修(通常期と違う体制のため、研修が行われます)や人権研修、交通安全研修など税金に直接関係あるなしに関わらず、様々な研修が行われます。

 

また税務署職員が国税局で研修を受ける場合もあります。若手や中間管理職、特定の仕事をする人向けの一斉研修が挙げられます。

 

国税局で各地から集まって研修を行う理由としては、上記に挙げたようなあまり該当者がいない層への研修を行う際には、税務署の「上司」といえる国税局で行った方が効率が良い、ってことなんでしょうね。

 

 

 

・研修所で受ける研修

もう一つの研修の形が、研修所で受ける研修です。

 

民間の会社においてはあまりやらない故、国税の研修制度の特徴と言えます。

 

 

ではその研修所はどこにあるのでしょうか。

 

こちらの画像をご覧ください。

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国税庁HP内のページより引用しました。

 

実は全国に研修所があるんですね。研修の際にはこういった研修所で研修を受けることになります。

 

 

研修所ではどんな研修を受けているの?

多くの皆さんにとって馴染みの無い「研修所での研修」

 

次に税務署職員がどういった研修を受けているのかを解説していきます!

 

 

研修所で行われる研修には様々な種類があり、各々異なった研修を受けています。

 

ただ全てを紹介することは難しいので、(私も正直分からない研修がありますし、もしお話してもあまり参考にならないマイナーな内容になってしまうためです)研修制度をお話するうえで外せない研修を以下で取り上げていきます。

 

 まずは採用されてから受ける研修です。

1.普通科研修(税務職員)

  • 通称:普通科
  • 研修期間:1年
  • 研修場所:関東信越研修所はじめ全国4研修所
  • 住まい:寮(全寮制)

 

  • 概要税務職員として採用された人たちが最初に受ける研修です。 
  • 研修内容、期間…税務署の仕事に密接な関係の「税法」はもちろん、社会人としての一般的な教養など、一通りの研修をしています。高卒や専門学校卒がほとんどの「税務職員」だから、というわけですね。加えて、下に書いてある通り、この研修中に各系統の専門知識を学ぶことから、研修期間が1年と長くなっています。職場の研修で1年というのは。普通の方はビックリされるかもしれません笑
  • 系統研修中に自身の系統(個人課税、法人課税などの系統が税務署内にはあります。後日改めて解説します。)が分かり、その系統に絞った研修を受けます。
  • 実務的な研修…1年の研修期間のうち最後の3か月は、税務署などで実地研修を行うなど、実務的な研修をしています。
  • 指導…

「社会人としての良識及び公務員としての自覚を身に付けさせるとともに、税務職員として必要な知識、技能等の基礎的事項を習得させる。」研修の目的より

   という大義名分の元、指導は厳しいものとなっています。

  • 住まい全寮制となっています。また関東信越研修所では2人部屋のため、苦手な人は私生活でも苦労することになります。
  • その他…年齢的に、20歳になるかどうかの研修生も一定数いるため、飲酒・煙草については指導官の厳しい目が光っています。未成年飲酒・喫煙はダメ、ゼッタイ!

 

2.専門官基礎研修国税専門官
  • 通称:専基礎(せんきそ)

  • 研修期間:3か月

  • 研修場所:税務大学校和光校舎(埼玉県和光市

  • 住まい:寮、自宅 

 

  • 概要国税専門官として採用された人たちが最初に受ける研修です。

  • 研修内容、期間…税務署の仕事に密接な関係の「税法」を学ぶことは普通科研修と共通ですが、「国税専門官」採用は大卒であることを理由に、社会の一般教養などの研修は少ないです。そのため同じ採用後の研修であっても、この研修は3か月普通科研修と比べると短くなっています。

  • 実務的な研修…研修期間が短い分だけ、普通科で行う税務署での実地研修のような実務的なプログラムはありません。よって税務署に配属されると、実地研修等無く電話などの仕事に取り組む形になりますので、配属後は非常に苦労します。

  • 系統普通科と異なり系統は研修中に決まっていません。そのため、皆が共通した研修を受けます。このタイミングで系統が決まってないことについては、次の記事で言及しています。

  • 指導普通科のような大義名分はあるものの、比較的指導は緩い部分があると思います。

  • 住まいワンルーム一人部屋の寮が用意されています。寮では門限等決まりはあれど、普通科の寮に比べれば自由にできます。また、電車等で自宅通勤(?)する人もいます。

  • その他…この研修では全国から同期が一つの研修所に集まります。ただ主に同じ国税の人たちと学びます。

 

以上2つが、採用後の研修として用意されているものになります。

 

(なお取り上げませんでしたが、「経験者採用」の方はこれとは別の「社会人基礎研修」が用意されています。)

 

 

なお研修後の各研修終了後の配属については、以下の記事で説明しておりますので、ここでは省略致します。

 

hujituboblog.hatenablog.com

 

 

また呼び方についてですが、普通科研修を修了した税務職員採用者普通科専門官基礎研修を修了した国税専門官採用者「専科」と呼びます。こちらについても詳しくは上の記事をご参照ください。

 

 

では続けて研修を紹介していきます。まず紹介する研修は、「税務署配属1年後に受ける研修」です。

 

こちらは専科の職員のみになります。

 

3.専攻税法研国税専門官
  • 研修期間:1か月(国税庁HPには2か月と記載)
  • 研修場所:各研修所
  • 住まい:寮、自宅 

 

  • 概要専科の職員国税専門官として採用された人)たちが、税務署の「管理運営部門」で1年間経験した後受ける研修です。
  • 研修内容、期間直前に配属された系統に関する、専門的な税法の研修を受けます(個人課税部門配属⇒所得税の研修)。期間は1か月です。
  • 指導…税務署での経験があるため、指導は厳しくありません。
  • 住まい…寮住まい、または自宅通勤です。
  • その他1か月と他の研修に比べ短いですが、専科の人間にとって各系統について学べる貴重な機会ですので、濃い1か月になります。 

 以上の研修が「税務署配属1年後に受ける研修」です。

 

 

各系統の専門的な知識を学ぶための研修といえますね。

 

なお既に言及しているように、普通科普通科研修の際に研修を受けているため、同じような研修はありません。

 

 

最後に紹介する研修は、「税務署配属1年後に受ける研修」です。

 

4.中等科(税務職員)
  • 通称:中等科
  • 研修期間:3か月
  • 研修場所:各研修所
  • 住まい:寮 

 

  • 概要普通科の職員(税務職員として採用された人たち)が、税務署で3年間経験した後受ける研修です。
  • 研修内容、期間…税務署での経験をふまえ、さらに専門的な税法等の研修を受けます。討議方式の学びなど、各自の考え、意見を活かす研修となっています。期間は3か月です。
  • 指導…税務署での経験があるため、普通科の時のような指導はありません。
  • 住まい…寮住まいです。
  • その他…この研修の後の辞令異動となる場合がほとんどです。

 

5.専科研修国税専門官
  • 研修期間:7か月
  • 研修場所:税務大学校和光校舎
  • 住まい:寮、自宅 

 

  • 概要専科の職員国税専門官として採用された人)たちが、税務署で3年間経験した後受ける研修です。
  • 研修内容、期間…これまでよりもさらに専門的な税法の研修を受けます。簿記会計学も重点的に勉強します。期間は7か月です。
  • 指導…あまり指導は厳しくありません。
  • 住まい…寮住まい、または自宅通勤です。
  • その他…専基礎の時と同じように全国から同期が集まりますが、この研修では他の国税局の職員とも研修を受けます。

 

 以上2つが、主な「配属後に受ける研修」です。

 

 

 

研修は他にもありますが、多くの職員が経験する5つの研修を今回は挙げました。

 

機会があれば、他の研修も別の記事で取り上げます!

 

 

まとめ

 

本日のまとめです。

 

「税務職員」国税専門官として採用された後には普通科研修」「専門官基礎研修」

国税専門官は税務署に配属された1年後に「専攻税法研修」

配属された3年後には「中等科研修」「専科研修」をそれぞれ受ける。

 

 

 

今回の記事はここまでです。

 

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